Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lee 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 151.280 caracteres · 301 pantallas
声を出すなと云われているので、これからどうするのかと質問する訳にも行かず、林は博士の隣に坐ったまま、息を殺すようにして、真暗なあたりを見廻すばかりであった。
電車通りからは遠く、自動車も滅多に通らぬ横町なので、滅入るように静かだ。その上にこの暗闇、山奥の一軒家にでもいるような心細さである。
やがて、暗闇に目が慣れるにつれて、あたりの様子が、ほのかに見分けられるようになって来た。階下は三間ほどの狭い借家、それが荷物を運び出したまま、どの部屋も開けっぱなしになっているので、階下全体が一つの大きな暗室のような感じである。初めは白い襖がポーッと浮かび出し、それから障子、黄色い壁、床の間と段々物の形が見え始め、やがて、障子の桟が算えられる程にはっきりして来た。
そうして、十分、二十分と無言の行をつづけているうちに、林助手は喋るなと云われていても、何だか口がムズムズして、もう我慢が出来なくなった。彼は博士の耳の側へ口を持って行って、まるで蚊の鳴くような低い声で、ソッと囁いた。
「先生、僕らは一体何を待っているのですか。こんな空家の中で、こうしていたって、別に何事も起りそうもないじゃありませんか」