Clásicos japoneses con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lee 愛のごとく (あいのごとく) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 103.908 caracteres · 210 pantallas
「やだ、やだ」声が口を覆われたように押し潰され、壁になにかがぶつかる音がひびいた。目の前にまるまったひろい軍服の背中があり、その両側に厚ぼったい娘の褪紅のスカートの端がみえた。
「なにをするんだ」彼はせいいっぱいの大声でどなった。男は縮れた栗いろの髪をしていた。
醜くあぶら汗をうかべた顔が振りかえった。あの少尉だった。「やめろ、なにをするんだ」信二は声をうわずらせて叫んだ。彼が腰にかじりつくと、やっと少尉は手を放した。
真蒼になった娘は、細すぎる棒のような脚をしていた。からだに似合わぬ太い声で、「やだよう」ともう一度どなった。
「坊やさん」娘はひきつれたような声で泣きはじめた。かぶっていた白い布は床に落ちて泥に汚れ、かきむしったような髪をしていた。泣きじゃくりながら娘は押しつめられた隅で腰をぬかしていた。
白い布切れがふわりと信二の靴に落ちた。引き千切られた娘のズロースだとはすぐわかった。
「……ガッデム」呼吸をきらしながら、ひどい鷲鼻の少尉はズボンの上をつかんでいた。睨み据えるような熱っぽい視線が信二をみつめている。信二はだまったまま、胸のふれあうような近くで睨み返していた。