Clásicos japoneses con furigana
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よく
慾
豊島 与志雄
Lee 慾 (よく) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.324 caracteres · 33 pantallas
それに気がついて我に返った。そして煮え返るような胸を抱いて、しっかり足をふみしめて、歩き去った。依田を殴り倒してる幻想が浮んでくる……。もう千代次が惜しいのではない。黄金の権力が呪わしいのだ。慾望は構わない。他人の慾望を蹂躙する貪慾が敵なんだ。僕を個人主義者だと笑ってはいけない。
中江は多少興奮していた。村尾は口を噤んでから、妙に萎れていた。
「よし、出かけよう。」
中江は元気よく立上ると、村尾もそれにつれて機械的に立上った。そして二人は、狭い裏通りを並んで歩いていった。どちらも可なり酔っていた。薄い絹の襟巻をして眼鏡を光らしている中江に比ぶれば、帽子の線を引下げてマントの襟に※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)を埋めてる村尾の方が、痩せた弱々しい身体付のせいもあって老けて見える。そして中江のしっかりした足取が、ふらついてる村尾の足取りを導いてるようだ。
暫くすると、彼等は喜久本の一室に落付いていた。
「千代次さん、じきに参ります。」
銚子を運んできた銀杏返の大柄の女中が、そう云いながら杯をすすめた。村尾が眼を挙げたあとを、中江が引取った。
「おやおや……。