Clásicos japoneses con furigana
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つきもの
憑きもの
豊島 与志雄
Lee 憑きもの (つきもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.983 caracteres · 27 pantallas
ひょっとした気持ちの隙間に、自分を見ている者があると感ずることは、大抵の人が経験するところであろう。浅間しいことをしている場合に多い。そして自分を見ているその者は、或は神と呼ばれることもあろうし、或は悪魔と呼ばれることもあろうし、或は単に自意識だとされることもあろう。
然し、私のはそのようなものではない。私の方をじっと見ている何かが、現実的に存在するのだ。やがては、その眼が現実的に存在するのだ。而もただ眼だけで、他に何もない。
自分自身から自分の姿が遊離して、自分がしようと思うことを先立ってやってしまうことを、モーパッサンは晩年の幾つかの短篇に書いている。仕事をするつもりで書斎にはいってくると、其奴が机に坐って仕事をしている。水を飲もうとすると、其奴が水瓶の水をコップについで飲んでしまう。路傍の花を摘もうとすると、其奴がその花を摘んでしまう。一瞬の幻影で、其奴の姿はすぐに消えるが、行為は確かに果されているのだ。そういう幻覚に、モーパッサン自身悩まされたことを、ロンブローゾは証明している。固より病気のせいだ。私の知ってる医者も、その種の幻覚はあり得ることだと言った。