Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lee 我が家の楽園 (わがやのらくえん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 90.195 caracteres · 175 pantallas

Aozora Bunko

要るものは、みな手近にあって、なんでも居なりで用が足りるし……こういっちゃなんですが、きれいにする精もないから、お掃除なんかもしない。めんどくさいと、茶の間へ七輪を持ちこんで、朝から小鍋立てというんです。あなたにしたって、結構すぎるくらいのものだったでしょう。この生活に別れるのだと思うと……」

嘘かまことか、賢夫人は調達局のハガキをながめながら、綿々と失楽園の嘆きをうたいあげた。

この点、石田氏も同感なので、愚痴のひとつもいいたいところだったのだろうが、それでは見識にかかわると思ったのか、

「今更そんなことをいってみたって、どうにもなりはしない。問題は、あの家で、どう、やりくりしていくかということなんだ。お前さんのつもりは、どうなんだね?」

「あたしのつもりをきかれたって、お返事のしようがありませんね。どうせ、あたしの力には及ばないことなんですから……わずかばかりの俸給で、あの大きな邸を、どう切りまわせとおっしゃるんです? それはご無理というものですわ」

「俺の俸給の高は、いわなくともわかっている。あれは真理や原則のようなもので、たやすく動くことはない。