Clásicos japoneses con furigana
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あるさっかのやくび
或る作家の厄日
豊島 与志雄
Lee 或る作家の厄日 (あるさっかのやくび) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.284 caracteres · 21 pantallas
」
「大丈夫、気紛れは起さない。だが、今晩、もっと続けたければ、それでもいいよ。」
彼女が分らないというのは、ノートの中に待合の女将が出てくるところだ。芸者をダンサーに変えたんだから、女将はどうしたらよいかというのである。そんなら、女将は、ダンスホールのマネージャーにでもしたらよかろうし、そのマネージャーには、彼女が識ってる出版社の編輯長でもかりてくるんだなと、おれはいい加減に助言してやった。その言葉を一つ一つ、彼女は噛みしめるように頷いている。憐れな奴だ。
ふと、憐愍の情がおれの胸に萠してくる。
「何事も勉強だよ。天才は忍耐だと言うが、忍耐して努力すること、つまり努力し得る能力が、即ち天才なんだ。君も勉強してごらん。」
彼女は眼をぱちくりさしておれの顔を見た。浅黒い皮膚で、小鼻がしぼみ、耳のわきに薄い痣がある。どう見たって美人じゃない。
「男もそうだが、女はなおのこと、文学をやるには、たしかな覚悟がいるよ。誘惑、どんな誘惑にも、負けないことだ。清貧に甘んじ、謙虚な気持ちで、世に処してゆかなければならない。出版社の重役になったり、顧問になったりして、小遣稼ぎをしてはいかん。