Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

あるおとこのしゅき

或る男の手記

豊島 与志雄

Lee 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 43.279 caracteres · 86 pantallas

Aozora Bunko

あれやこれやを考えて、いっそ決闘で殺されてしまったら……なんかと想像してみたりした。そしてそれが馬鹿馬鹿しくなると、またいつしかぼんやり雨音に聞き入っていた。

そこへ女中がやって来て、松本さんをこちらへお通ししてもよいかと云った。私は驚いて眼を見張った。

「え、松本君が? 今来てるのか。」

「先程からいらして、奥様とお話していらっしゃいます。」

私はまた喫驚した。いつも階下に誰か来た時は、何かの気配を感じないことはなかったのに、その時ばかりは少しも感じなかった。私は心にぎくりとしながら、通してくれと女中に云って居住いを直した。

やがてやって来た松本は、私に或る印象を与えた。頬がひどくこけたせいか鼻がつんと高く額が白々と秀でて、眼には澄んだ奥深い光を湛えていたが、唇の薄い口元には毒々しい軽侮の影を漂わしていて、その二つが変に不調和な対照をなしていた。彼は私の前方にぴたりと坐って、私の方を見ないで云った。

「奥さんにだけお逢いしてゆくつもりでしたが、あなたにもお目にかけておく方がよいと思って、持って来ました。光子からの手紙です。」

私は無言のまま、差出された手紙を取って読んだ。