Clásicos japoneses con furigana
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てがみ
手紙
久生 十蘭
Lee 手紙 (てがみ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 15.158 caracteres · 30 pantallas
それで、昼はマングローブの林の中へ舟を入れ、夜も、月が落ちて星だけになってから航海するようにいたしました。水は椰子の実を用意しておきましたので、不自由することはありませんでした。マングローブの根元には、親指の頭くらいの小さな牡蠣が無数についています。一尺五寸もある、泥のような色をした大蟹もいます。蝦蛄もいます。椰子のないところには、ピーサン・イジュウ(野生バナナ)もありまして、食べることには困りませんでしたけれども、月は夜の六時に出て、朝の五時まで空にいて、航海する時間は、ほんの二時間ぐらいしかありませんので、村上さんは気がイライラとして、だんだん機嫌がわるくなりました。
世界で一番よく出来た刳舟は、マルケサス諸島の刳舟で、幅は一呎もなく、軽いから、手で水を掻いても、一時間、四浬は走り、帆で走るならば、十五浬は行きます。しかし、ンブナムがこしらえた刳舟もなかなかよいもので、十二浬はらくに出て、けっして遅いことはないのです。
「村上さん、なぜ、そう急ぐのですか。あなたは濠洲へ羊の毛を買いに行くのではないのですか」といいますと、村上さんは腹をたて、椰子の実を枕にして寝たきり、五日も口をききませんでした。