Clásicos japoneses con furigana
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せっぷんをぬすむおんなのはなし
接吻を盗む女の話
佐左木 俊郎
Lee 接吻を盗む女の話 (せっぷんをぬすむおんなのはなし) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4474 caracteres · 10 pantallas
「まあ、静枝さん! どこへいらっしゃるの?」
「…………」
静枝は顔を赧くして、腹を抱えるようなお辞儀をしながら、薄紫の縁取りをした桃色のハンカチで口を抑えた。
「遊びに、いらっして下すったの?」
「…………」
静枝は癖で、笑いながら頷いた。
三枝子は静枝が自分の前へ来るまで、孔雀のように着飾っている絢爛な彼女の着物を観察した。それが三枝子には一つの驚異だった。自分と同じ社に勤めていて、殆んど同じほどの給料を貰っていて、そして夫を養いながらどこからこんな余裕が湧くのだろう? 自分をあの社に紹介して引き入れてくれたほどだから、自分より静枝の給料の方が多いには相違ないが、そんな余分のある筈はない! 自分達に比べると、母親もなく子供も無いためなのかしら? と三枝子は思うのだった。
恵子は静枝の足許までよたよたと駈けて行った。
「まあ、恵子ちゃん、大きくなったのね。」
静枝はそう言って蹲んだ。
「静枝さん。ゆっくりして行っていいんでしょう?」
「ちょっと失礼するわ。」
「あら! どうして?」
「廻らなければならないところがあるのよ。」
「どこへいらっしゃるんですの?」
「約束があるのよ。