Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lee 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 257.350 caracteres · 507 pantallas

Aozora Bunko

それによって人々はむやみと興奮を感じていた。動作はちがうが、岡山辺でも、子供たちのうたう文句は播州と同じようであった。

関東地方では同じ行事を「十日ン夜の藁鉄砲」といっている。藁鉄砲であるから播州の行事に近いわけである。つまり動作の方は遠く離れた遠方同士が似ているが、歌の方は藁と石と違っても、距離の近い同士が似ているのである。それにしても、このごろになって私に判ったのは、この行事がそんなに旧くないということである。

はじめ親たちから聞いた話では、もとは旧暦十月は亥の月だから、亥の月の亥の日を選ぶ。第一の亥の日は殿様の亥の子だとか武士の亥の子だとかいって、村人は何もしない。二度目の亥の日を百姓の亥の子といって、村の人たちはこの日に餅をついて贈ったり、贈られたり、子供たちが藁鉄砲で地面を叩いたりするのだというのである。

今でも憶えているが、私の家などでもよくこの亥の子餅を貰った。菊の花のややうつろになった小枝を、必ず重箱の中に入れてあり、蓋をとると、プーンとよい香りがしたものであった。夜更けまで藁鉄砲をうっていたものか、翌朝学校にゆく路の両側に、土がてらてらと固くなっている所が、あちこちに残っていたのをおぼえている。