Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぶんちょう

文鳥

夏目 漱石

Lee 文鳥 (ぶんちょう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.569 caracteres · 22 pantallas

Aozora Bunko

水も易えてやった。水道の水だから大変冷たい。

その日は一日淋しいペンの音を聞いて暮した。その間には折々千代千代と云う声も聞えた。文鳥も淋しいから鳴くのではなかろうかと考えた。しかし縁側へ出て見ると、二本の留り木の間を、あちらへ飛んだり、こちらへ飛んだり、絶間なく行きつ戻りつしている。少しも不平らしい様子はなかった。

夜は箱へ入れた。明る朝目が覚めると、外は白い霜だ。文鳥も眼が覚めているだろうが、なかなか起きる気にならない。枕元にある新聞を手に取るさえ難儀だ。それでも煙草は一本ふかした。この一本をふかしてしまったら、起きて籠から出してやろうと思いながら、口から出る煙の行方を見つめていた。するとこの煙の中に、首をすくめた、眼を細くした、しかも心持眉を寄せた昔の女の顔がちょっと見えた。自分は床の上に起き直った。寝巻の上へ羽織を引掛けて、すぐ縁側へ出た。そうして箱の葢をはずして、文鳥を出した。文鳥は箱から出ながら千代千代と二声鳴いた。

三重吉の説によると、馴れるにしたがって、文鳥が人の顔を見て鳴くようになるんだそうだ。現に三重吉の飼っていた文鳥は、三重吉が傍にいさえすれば、しきりに千代千代と鳴きつづけたそうだ。