Clásicos japoneses con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lee 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.330 caracteres · 497 pantallas
」
ひざ小僧を出したお君さんの子供が、白い待合所の水道の方へ走って行くと、お君さんは袂からハンカチを出して子供のそばへ歩いて行く。
「さあ、これでお顔をおふきなさい。」
ああ何と云う美しい風景だろう、その美しい母子風景が、思い思いな苦しみに打ちのめされてはきりっと立ちあがっては前進してゆくのだ。少年が母をたずねて、この浜辺までひとりで辿って来た情熱を考えると、泣き出したいだろうお君さんの気持ちが胸に響くなり。
「あの子と一緒に間借りでもしようかとも思うのよ、でも折角、父親がいて離すのもいけないと思って我慢はしてるのだけれど、私、働き死にをしに生れて来たようで、厭になる時があるわよ。」
「ね、小母さん! ホテルって何?」
フッと見ると波止場のそばの橋の横に、何時か見たホテルと云う白い文字が見えた。
「旅をする人が泊るところよ。」
「そう……」
「ね、坊や! 皆うちにまだいるの?」
「うん、お父さん家にいるよ、お婆ちゃんも、小母ちゃんも銀座の方にこの頃通って、とても夜おそいの、だから僕だの父ちゃんが、かわりばんこに駅へむかいに行くんだよ……」
お君さんはおこったように沈黙って海の方を見ていた。