Clásicos japoneses con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lee 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.330 caracteres · 497 pantallas
芳ちゃんと歩きながら食べる。のこりの二つを一つずつ分けて、二人ともあったかい奴を八ツ口の間から肌へじかにつけてみる。
「おおあついッ」
芳ちゃんが笑った。私はたいやきを胃のあたりへ置いてみる。きいんと肌が熱くていい気持ちだ。かいろを抱いているみたいだ。我慢のならない淋しさが胃のなかにこげつきそうになって来る。雪が降る寛永寺坂。登りつめると、うぐいすだにの駅にかかった陸橋。橋を越して合羽橋へ出て、頼んでおいた口入所へ行く。稲毛の旅館の女中と、浅草の牛屋の女中の口が一番私にはむいている。
お芳さんは、子供づれで稲毛へ行くと云うし、私は浅草がいいときめた。何も遠い稲毛の旅館の女中にならなくてもいい筈だと思うのだけれど、お芳さんは、馬鹿に稲毛が気にいっている。子供が小児ぜんそくと云うので、海辺で働いている方が子供の為にいいと云うのだ。子供は私生児で、その父親は代議士なのだそうだけれども、それも本当なのか嘘なのか私には判らない。ぶきりょうなお芳さんに、そんな男があるとも思えなかったし、第一、それが本当ならば、何も稲毛まで行く事もあるまい。
私は三円の手数料を払って損をしたような気がした。