Clásicos japoneses con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lee 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.330 caracteres · 497 pantallas
焼いてしまいたいと何度か思いながら、十年もたったさきへ行って、こんなこともあった、あんなこともあったと思うのも無駄ではないとも思える。
どうにもやりきれないので、外出をする支度をする。何処と云って行くあてはないのだけれども、一応母を連れ出してよく話をしなければならぬ。私は粉炭を火鉢の中に敷いて、火をこっぽりと埋めて、やかんをかけておいた。二つある玉子を母にもむいてやる。母は音もさせないで玉子をのみこむように食べた。
「一寸、そとへお母さんと出て来ます」
と、机のそばへ行ったのだけれど、男は相変らずみむきもしない。二人で外へ出た時は、腹の底から溜息が出た。私は何度も深呼吸をした。私がそんなに厭な女なのだろうかと思う。まるで自信がなくなってしまう。ごみくずのような気がして来る。只、私は若すぎると云うだけだ。何も知らないのかも知れない。それでも自分には何の悪気もないのよとべんかいめいた気持ちにもなるのだ。
たまにささやかな金がはいって、五銭で豆腐を買い、三銭でめざしを買い、三銭でたくあんを買って、三色も御ちそうが出来たと云うと、つまらんことを自慢にすると小言が出るし、たまに風呂へ行って、よその女のように首へおしろいを塗って戻ると、君の首はいくびだから太くみえてみにくいのだと云う。