Clásicos japoneses con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lee 新生 (しんせい) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 334.815 caracteres · 663 pantallas
二十七
「でも、好いやねえ。絵がついてるからねえ」と繁は受けて、「父さんは僕の本にも書いてくれた。一つ読んで見るかナ。『旅より帰りし日――父より――繁へ』」
読む繁も聞く泉太も二人とも噴飯してしまった。その時、泉太の方は何か思出したように、
「父さんは好いナア」
「どうして?」と岸本が訊いた。
「だって、独りで仏蘭西の麺麭なんか食べて――」
「独りで? お前達を連れてくわけに行かないじゃないか」
「父さんは何しに仏蘭西へ行ったの――」
この泉太の問には、岸本も詰ってしまった。屋外の方では遽に蛙の鳴出す声が聞えた。岸本は子供等の顔を眺めながら、旅の空では殆んど聞かれなかった蛙の声に耳を澄ました。三年も見なかった間に可成な幹になった庭の銀杏へも、縁先に茂って来た満天星の葉へも、やがて東京の夏らしい雨がふりそそいだ。
二十七
二人の子供は更にお清書だの図画だのを取出して来て岸本に見せ、岸本が旅から送ってよこした絵葉書なぞをもそこへ並べて見せた。
「へえ、リモオジュの絵葉書があるね。これは泉ちゃんのところへ送ってよこしたんだね。よくそれでもこんなに失くならないで残っていたね」