Clásicos japoneses con furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lee 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 129.076 caracteres · 256 pantallas
が如きものだ、思えば自分ながら我も敵を知らざる事の甚だしきだと、自分をさえ嘲笑っている。けれども久佐賀の方では、自分の方は名と富と力を貯えているものだと、慢じていたのであろう。そしてその上に、一葉の美と才と、文名とを合せればたいしたものだと己惚たのであろう。他の者には洩すのさえ恥ているだろうと思われる貧乏を、自分だけがよく知っていると思いもしたのであろう。まだそれよりも、彼女が親と妹のために、物質の満足を得させたいと願っている弱みを、彼れは自分一人が承知しているのだと思い上っていた。それのみならず彼れは、一葉を説破しえたつもりでいたかも知れない。
久佐賀は、金力を持って、さも同情あるように附込んでゆこうとした。そうした男ゆえ、俺ならば大丈夫良かろうと錨をおろしてかかったのかも知れない。ともかく彼れはやんわりと、勝気なる、才女を怒らせないような文面をもって求婚を申入れた。それは廿七年の六月九日のことで女史が廿三歳の時である。
(貴女の御困苦が私の一身にも引くらべられて悲しいから、御成業の暁までを引受けさせて頂きたい。けれども唯一面識のみでは、お頼みになるのも苦しいだろうから、どうか一身を私に委ねてはくれまいか。