Clásicos japoneses con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lee 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.649 caracteres · 27 pantallas
そういうことに遠ざかって久しかったから皮膚もなずまないし、なかなか手順がうまくいかなかった、幾たびやりなおしても気にいらず、しまいには拭き取ってしまうことも多かったが、白粉や臙脂や香油などのにおやかな香に包まれていると、なにやら若やいだ浮き浮きするような気持になり、思わず刻の経つのを忘れることもあった。
三右衛門はかくべつなにも云わなかった。弥生がきょうは美しく化粧ができたと思ったとき、いちどだけ微笑しながらつくづくと見て呉れた、
「いいな、化粧というものは男が衣服袴を正すのと同じで、気持をしゃんとさせるものだそうだ、これからもそのくらいの化粧はするほうがいいだろう」
そのとき弥生は恥ずかしいほど満たされた気持で、良人の前を立って来ると暫く鏡を覗いていた。……然しこれらのことはながくは続かなかった、道具のありどころもたびたび変えるわけにはいかないし、変えてみてもいつもそう新らしい気持にはなれない。つましい経済では白粉や臙脂はかなり贅沢につくし、時間の惜しいときのほうが多いのでしぜん手軽に済ませておくようになる。こうして箪笥も鏡台も机も、いつかしら元の場所におさめられるのを見て、三右衛門はなにやらほっとした口ぶりでこう云った、