Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lee 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.649 caracteres · 27 pantallas

Aozora Bunko

三

「お帰りあそばせ」

弥生はうろたえて赧くなった、

「つい考えごとをしておりまして」

しどろもどろに云いながら、居間のほうへゆく良人のあとを追った。

三

明くる日、部屋の掃除をしているとき、用箪笥の上に風鈴のあるのをみつけた。妹たちが廂からはずしてそこへ置き忘れたのである。弥生は手にとって暫く見ていたが、やがてそれを箪笥の小抽出の中へしまい、気ぬけのした人のようにそこへ坐って、ひとりしんと考えこんでしまった。そのときから弥生はものおもう日が多くなり。過ぎ去った二十九年というとしつきを幾たびも思いかえした。

父が世を去ったとき弥生は十五、小松は十一、津留は九歳だった。それより数年まえに母も亡くなっていたので、なにもかもいっぺんに弥生の肩へかかってきた。家政のことや二人の妹のせわは云うまでもない、武家のならいで跡継ぎがなければ家名が絶えるから、同じ家中で松田弥兵衛という者の二男を養子にきめた。もちろん盃だけで祝言をあげたのは三年ののちのことだったが、こういう身の上の変化をうけとめるには、弥生の年はまだ余りに若すぎた、母方の伯父がうしろみになって呉れたけれど、弥生はできる限りひとりでやってゆく覚悟をし「自分は今からおとなになるのだ」