Clásicos japoneses con furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Lee 星女郎 (ほしじょろう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 52.344 caracteres · 104 pantallas
少い女が持出した、金蒔絵の大形の見事な食籠……形の菓子器ですがね。中には加賀の名物と言う、紅白の墨形の落雁が入れてありました。ところで、蓋から身をかけて、一面に蒔いた秋草が実に見事で、塗も時代も分らない私だけれども、精巧さはそれだけでも見惚れるばかりだったのに、もう落雁の数が少なく、三人が一ツずつで空になると、その底に、何にもない漆の中へ、一ツ、銀で置いた松虫がスーイと髯を立てた、羽のひだも風を誘って、今にもりんりんと鳴出しそうで、余り佳いから、あっ、と賞めると、貴婦人が、ついした風で、
(これは、お綾さんのお父さんが。この重箱の蒔絵もやっぱり、)
と言いかける、と、目配せをした目が衝と動いた。少いのはまた颯と瞼を染めたんです。
で、悪い、と知ったから、それっきり、私も何にも言いはしなかった。けれどもどうやらお綾さんが人間らしくなって来たので、いささか心を安じたは可いが――寝るとなると、櫛の寝息に、追続いた今の呻吟。……
お先達、ここなんです。
二人で心配をしてやろうと言ったは、今だ。疾くその遁口から母屋に抜けよう。が、あるいは三方から引包んで、誘き出す一方口の土間は、さながら穽穴とも思ったけれども、ままよ、あの二人にならどうともされろ!で、浅茅生へドンと下りた、勿論跣足で。