Clásicos japoneses con furigana
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はるのやま
春の山
久生 十蘭
Lee 春の山 (はるのやま) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 8782 caracteres · 18 pantallas
「潮休みには浜方がまじるので、いつもどえれえ騒ぎをおっぱじめるんだが、ほんとうに知らなかったのかよ」
「知らなかった。それらしいものも見かけなかったが、その連中、どの道から入りこんでくるんだ」
「どの道といったって、入口は一つだ。みな門から入ってきまさ」
そう言われれば、六さんや由さんが半纒の裾になにかを丸めこんで、庭の奥へ入って行くのを見た記憶がある。
「六さん、あの齢で若いものといっしょになって、悪さをするのか」
「先生はなにも知らねえんだね。六さんこそは関東一の軍鶏師よ。六さんの手にかかったら、反羽鶏も軍鶏になるというくらいのもんだ。今日の花試合に出す『明月院』ってのが、そこに伏せてあるが、見たかったら、のぞかせてやろう」
去年の落葉が冬のままに堆高くたまった裏山の斜面をあがって行くと、柊の大木の下に、久しく閉めきったままになっているらしい暗ぼったい小屋があった。
吉青年は扉の前に立って、中の物音を聞くようなほのかな目づかいをしていたが、周平のほうへ振返って、
「奴さん、威勢がいいや。入ってみよう」と誘いかけるようなことをいった。
馬立のある小屋の小暗いところに、紅絹の袋をかぶせた二尺ばかりの高さの伏籠が置いてあって、その中でガサガサと気ぜわしく動きまわる鶏の足音が聞えた。