Clásicos japoneses con furigana
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はる
春
岡本 かの子
Lee 春 (はる) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 23.864 caracteres · 48 pantallas
と言っても京子は納得し切らない。
――そうかしら。
京子は一応おとなしく聴き入る。で却って不憫になり、あとから捉まってまた訊かれる者も、素気なく振り切れない。
鏡を持って行って見せてやる。丸い手鏡の縁に嵌まって、よく研ぎ澄ました鏡面が、京子の淋しいきちがいの美貌へ近づく。春の早朝の匂いのような空気が、明けたばかりの硝子戸から沁み込む。細い手で受け取った鏡を、京子は朝日にかざしてきらりと光らせ、傍の者を眩しがらせてから、も一度、朝陽の在所を見極める。鏡と朝陽の照り合いを検べる。そして、自分も鏡のなかへ映る自分の眸に星があるか無いか検べるから、傍からもよく鏡の中の自分の眸と本当の自分の眸を見較べて欲しいと言うのである。
――無いね。星なんか無いね。
京子は涼しい歯を出して、傍の者を振り返って嬉しそうに笑う。笑ったかと思うと、今度は態とのように暗い障子の方を向き、最も不利な光線を、鏡の背後に廻して、苦々しく眼のなかを覗き込む。
――星。有るわよ。有るわよ。
京子は、頓狂に言って鏡を持たないあいている方の手の指で、眼瞼を弾く。自分の手で自分の瞼を弾くのだから、いくらか加減して居るに違いないと思って見ても、可なり痛かろうとはらはらさせられる程きつく弾く。