Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lee 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 42.845 caracteres · 86 pantallas
お千は遠慮して、向うを向いていたが、もうたまりかねて闇の中に寝がえりを打ち、杜の方に向き直った。そして彼女は、乳房をさがし求める幼児のように、彼の方に寄ってきたのであった。
杜は睡りもやらず、痛がるお千の腕をソッと持っていてやった。――
(お千は、あのことを思っているのじゃあるまいな)
杜の耳朶が、不意に赤くなった。
お千はいつの間にか、彼の左側にピタリと寄りそって歩いていた。
「手は痛みますか。――」
と、彼は今までにないやさしい声で尋ねてみた。
「すこしは薄らいだようでござんす」
お千はニッコリ笑った。
浅草橋から駒形へ出、そして吾妻橋のかたわらを過ぎて、とうとう彼等の愛の巣のある山の宿に入った。所はかわれども、荒涼たる焼野原の景は一向かわらずであった。
ただ見覚えのある石造り交番が立っていたので、彼が今どの辺に立っているかの見当がついた。
交番の中はすっかり焼けつくしたものと見え、窓外の石壁には、焔のあとがくろぐろと上ひろがりにクッキリとついていた。中には何があるのか、その前には四、五人の罹災者が、熱心に覗きこんでいた。そのうちの一人が、列を離れて、杜の方に近づきざま、