Clásicos japoneses con furigana
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やしがに
椰子蟹
宮原 晃一郎
Lee 椰子蟹 (やしがに) de 宮原 晃一郎 (みやはらこういちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4116 caracteres · 9 pantallas
一
暑い暑い、どんな色の白い人でも、三日もおれば直ぐ黒ん坊になる程暑い南洋の島々には椰子蟹がおります。椰子蟹て何? 椰子の実を喰べる蟹です。じゃ椰子て何? 椰子は樹です、棕櫚に似た樹です。けれども実は胡桃に似ています。胡桃よりも、もっともっと大きな、胡桃を五十も合せた程大きな実です。胡桃のように堅い核が、柔かな肉の中にあります。それを割ると中からソーダ水のような甘酸っぱい水と、豚の脂のかたまったようなコプラというものが出て来ます。土人はそれを喰べます。私どもはそれで石鹸をつくります。椰子蟹はこのコプラを喰べて生きていますから、椰子蟹という名がつきました。
二
或島に一匹の椰子蟹がおりました。大変おとなしい蟹で、珊瑚岩の穴に住まっておりました。潮が退くと、穴の口にお日様の光りが覗き込みます。すると宿主の珊瑚虫はブツブツ言いながら身をちぢめますが、蟹は大悦びで外へ出ます。青い青い広い海は、ところどころ白い泡を立てております。そこにはまだ一度もじかにお日様にあったことのない隠れ岩があるのです。又或ところには大きな輪を置いたように岩が水の上に突き出て、その上に椰子の樹がぼさぼさと羽箒を逆さにしたように立っております。