Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

やしがに

椰子蟹

宮原 晃一郎

Lee 椰子蟹 (やしがに) de 宮原 晃一郎 (みやはらこういちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4116 caracteres · 9 pantallas

Aozora Bunko

「アッ。」という人の声が聞えただけ、蟹はあとはどうなったか知りません。ただ自分の体が水にザブンと音を立てて入っただけ、そしてその次には深く深く沈んで行く自分の足が、何やらふわふわと柔かいものにさわり、それから又ぐんぐん元来た方へ引き戻されたことだけをおぼえています。本当に気がついたときには、狭い暗い箱の中におりました。椰子の樹から海へ落ちたところを、すぐ網で掬い上げられたのでした。

四

蟹はこうして箱のまま汽船の甲板に積み込まれ、時々汐につけられ、時々蓋を少しあけては古臭いコプラを喰べさされました。そこには夜もなく、昼もありません。いつも真暗で、いつも変な臭いがして、そうぞうしい音や、人の声がしております。蟹は日本から来た学者たちに生きた標本として、捕われたのでした。けれども自分ではそんなことは知りません。ただいつもいつも窮屈な思いばかりしておりました。けれども一番困ったのは暗いのよりも臭いのよりも、そうぞうしいのよりも、寒くなって来ることでした。が、暑いところで生れ、熱いところで育った蟹には寒いということは分りませんでした。

「何だか甲羅の中で身が縮んでしまう。