Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 146.773 caracteres · 294 pantallas
と、次郎は、お浜のからだをゆすぶりながら、
「僕は、ちっともひねくれてなんか、言ってるんじゃないよ、ほんとうにそうだよ。」
「じゃあ、ど……どうして、あんな意地悪なことおっしゃるの?」
「意地悪じゃないよ。だって、乳母やの考えてることと、僕の考えてることとが、まるでちがってるんだから、しようがないよ。」
「じゃあ、どうちがっていますの?」
「乳母やは、僕がみんなに負ける、だから偉くないって、そう思ってるんだろう。」
「ほれ、また。」
「わかんないなあ、乳母やは。」
「わからないのは坊ちゃんですよ。」
次郎は笑い出した。お浜も、つい、つりこまれて淋しく笑った。次郎は、しかし、すぐまじめになって、
「乳母や、負けるって、どんなこと?」
「負けるって、負けることですよ。」
次郎はまた笑った。すると、今度はお浜がたずねた。
「じゃあ、坊ちゃんは、どうお考えなの?」
「僕はね、乳母やが勝ちだって考えていることが負けるってことで、負けるって考えてることが勝ちだってことだと思うよ。」
「まあ! 変ですわね。それ、どういうことですの?」
「乳母やは、人の喜ぶようなことをするの、いいことだと思う?」