Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 146.773 caracteres · 294 pantallas
彼はすぐ次の間から引きかえそうとした。が、もう一度蝋小屋に行って、いかにもお祖父さんに挨拶をして来たような顔をするのがいやだったので、ちょっと思案していた。
すると、急に座敷の話声が、高くなった。
「いや、先方はまだ何も知りませんのじゃ。」
お祖父さんの声である。つづいてお祖母さんの声がきこえる。
「先方では、あんたが、きょうこちらにお見えのことも知らないでいるはずでございますよ。きょうは私どもの急な思いつきで、顔だけでもあんたに見ておいてもらったら、と思いましてね。幸い先方が訪ねて来るというものですから。」
「なあに、いけなけりゃ、いけないで、ちっとも構いませんのじゃ。じゃが、仏に対する遠慮なら、もう無用にしてもらいましょう。ちっとでも次郎のためになることなら、仏も喜びましょうからな。」
次郎はもう動けなくなった。
「そりゃあ、気が利かないうえに、学校も小学校きりでございますから、何かと足りないがちだろうとは思います。ただすなおなのが取柄でございましてね。」
「生半可に気が利いたり、学問があったりするのは、こういう場合には、かえってよくないものじゃ。ことに、次郎にはやさしいのが何よりじゃでのう。