Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.443 caracteres · 398 pantallas

Aozora Bunko

*

あくる日は、いよいよ第十回の入塾式だった。二月はじめの武蔵野の寒さはきびしかったが、空は青々と晴れており、地は霜どけでけぶっていた。

十時の開式までは、塾生たちはやはり自由に過ごすことになっていた。朝食をすますと、彼等は日あたりのいい窓ぎわにかたまって雑談をしたり、事務室におしかけて来て新聞を読んだりしていた。

八時をすこしすぎたころに、けたたましく事務室の電話のベルが鳴った。次郎が出て見ると、田沼理事長からだった。

「朝倉先生は?」

「塾長室においでです。」

「じゃあ、そちらにつないでくれたまえ。」

次郎は、何か急用らしいが今ごろになって何事だろうと思いながら、線を塾長室にきりかえた。

すると、まもなく、塾長室から朝倉先生の声がきれぎれにきこえて来た。

「はあ、なるほど。……それは、むろん、こばむわけにはいきますまい。……ええ、ええ、……承知いたしました。いたし方ないでしょう。……すると、こちらで予定していた来賓祝辞は、……ああ、そうですか。では、時間の都合を見まして適当にやることにいたしましょう。……え? ええ。やはりずいぶん気にやんでいるようです。