Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 159.223 caracteres · 320 pantallas
「返事をせんところをみると、まだ何も考えていないのじゃな。」
老人は非難するように言った。
「お祖父さんは、小さい時に、何になろうと考えたの?」
「うむ……」
老人は逆襲されてちょっと返事に困ったふうであったが、
「お祖父さんの子供の頃は、親のあとを継ぐ気でいればよかったのじゃ。」
「今はいけないの?」
「いけないこともないが……」
と、また老人は返事に困った。
「僕の父さんは役人でしょう。」
「うむ……」
老人はますます窮した。
「僕、役人になってもいいんだが、父さんは、すぐ役人をよすんじゃありません?」
「父さんがよしたら、お前もよすかの?」
「僕、父さんと、なるたけ一緒の方がいいや。」
「ふむ。」
正木の老人は、闇をすかしてそっと次郎を見おろしたが、そのまま默って歩を運んだ。
「お祖父さん。――」と、次郎は急に改まった調子で、
「ねえ、お祖父さん、父さんは心が真っ直なんでしょう?」
老人は、次郎が何を言い出すのかと思って、ちょっと思案した。が、すぐ、
「そりゃ真っ直じゃとも、どうしてそんなことをきくかの。」
「父さん酒飲むの、悪かありません?」
「うむ、……そりゃ、酒はのんでも、心が真っ直ならいいだろう。