Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 159.223 caracteres · 320 pantallas
何といっても、祖父は正木の家では他の誰よりも大きな魅力を持っている。もし祖父の彼に対する愛が少しでも冷めかかったと知ったら、彼は恐らく、春子に別れた時とは全くちがった、あるどす黒い絶望を感じたかも知れない。それほどの祖父でありながら、いざ自分から近づいて行こうとすると、何となく気おくれがする。それはちょうど大海の真青な波に心をひかれながら、思いきって飛びこめないのと同じ気持である。で、彼はいつも遠くから、祖父の本当の気持をそれとなく探ろうとする。ことに今日のようなことがあると、それが一層ひどい。そして、うまくそれが探れないと、彼の気持はみじめなほど憂鬱になって行くのである。
翌日は、彼はもう我慢にも寝ていられなかった。そして起きあがると、お祖父さんの目につくようなところを何度も行ったり来たりして、何とか言葉をかけて貰うのを待っていた。しかしお祖父さんは、いつもちらりと彼の方を見るだけで、容易に口を利こうとはしなかった。次郎は、あとでは、口を利いてさえ貰えばそれがどんな烈しい叱言であってもいいような気にさえなった。しかし、お祖父さんの口は依然として固かった。