Clásicos japoneses con furigana
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かしゅう『わくい』をよむ
歌集『涌井』を読む
和辻 哲郎
Lee 歌集『涌井』を読む (かしゅう『わくい』をよむ) de 和辻 哲郎 (わつじてつろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 2550 caracteres · 5 pantallas
それを感じはじめると、どの色といわず、色のついていること自体がいやになってくる。そういう意味で、わたくしには、あの淡々とした透明な感じが実にありがたい。
しかしこれは先生の歌が無技巧だなどということではない。あれほど一字一句の使い方、置き方に気を配った歌、あれほど浮いたところのない、中味のびっしりとつまった歌、またあれほど濃かいニュアンスを出した歌が、技巧に熟達せずに作れるものではない。しかし先生の歌は、その巧みさを少しも感じさせないほど巧みな域に達していると思う。今度の歌集で先生は、
もののさびものの渋味はおのづからいたりつく時はじめて知らゆ
と歌っていられるが、そういう先生の境地が先生の歌を味わうものの心にもしみじみと伝わってくるように感ぜられる。それはまことに達人の域である。何事にもあせりが目立ち、どぎつい表現があふれている今の世の中で、こういう達人の歌に接し得ることは、不幸に充ちたわれわれの生活の中で、まことにありがたい幸福だと言ってよい。
歌集『涌井』は動乱のさなかに作られた歌の集である。戦争の最後の年、空襲がようやく激甚となってくるころに、先生は、病を押して災禍を信州に避けられた。