Clásicos japoneses con furigana
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えどのかじゅつ
江戸の火術
野村 胡堂
Lee 江戸の火術 (えどのかじゅつ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.929 caracteres · 36 pantallas
秋葉の奥の罠
「何を言やがる、旅の女にふざけた事なんかしやがって」
三人共思いの外の腕利き、井上半十郎兎もすればあしらい兼ねます。
そのうちに女は姿を隠した様子。
漸く邪魔者を追い払った時は、その辺にはもう影も形もありません。
秋葉の奥の罠
三尺坊から秋葉山までは、たしかに女を追いましたが、それから裏山の道は、日が暮れて、すっかり判らなくなってしまいました。
朝から何里歩き続けたことでしょう、その上山道へ迷い込んで、二た刻あまり、何処を何う通ったか、見当も方角も解らなくなった井上半十郎、思わず道路の岩角に腰をおろして、油のような濃い闇の中にホッと溜息を吐きました。
先刻チラと振返った繁代の顔には、昨夜とは又違った、深刻な悩みのあったのを、半十郎は見のがさなかったのです。
「砲術秘巻」もさること乍ら、もう一度繁代に逢って、その本心を聴かないうちは、何処へも持って行きようのない、突き詰めた心持に、半十郎はなり切っていたのです。
満天の星は次第に鮮やかになって、四方の草叢から、泉の湧くような虫の声、初秋の淋しさは、骨の髄まで沁み入ります。
「おや?」
遥かの峰の上に、灯の瞬くのが見えたのでした。