Clásicos japoneses con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lee 江戸情話集 (かごつるべ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 203.779 caracteres · 407 pantallas
半九郎は人を斬って来た」
「誰を斬った。お染を斬ったか」
「いや、女でない。源三郎を斬った」
市之助もぎょっとした。彼は寝衣の膝を立て直して又きいた。
「なぜ斬った。口論か」
「おれも短気、源三郎も短気、ゆるしてくれ」
果し合いの始末を聞かされて、市之助はいよいよ驚いた。
「お身と源三郎とが河原へ駈け出したら、お染はなぜ早くおれに教えてくれなんだか。しかしそれを今更いっても返らぬ。そこで半九郎、お身はこれからどうする積りだ」
「仇と名乗って討たれに来た。殺してくれ」
「弟の仇……見逃す法はない。ここで討つのは当然だが、おれが頼む、逃げてくれ」と、市之助は言った。「お身とおれは竹馬の友だ。源三郎とても同様で、互いに意趣も遺恨もあっての果し合いでない。いわば当座の行きがかりで、討つ者も討たるる者も詰まりは不時の災難だ。さっき弟が迎いに来た時に、おれが素直に戻れば何事もなかったものを……。思えばおれにも罪はある。今更お身を討ち果したとて、死んだ弟が返るでもない。おれは知らぬ振りをしているから、お身はどこへでも早く逃げろ。ここらにうろうろしていては詮議がむずかしい。京を離れたところへ身を隠してしまえ。