Clásicos japoneses con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lee 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.609 caracteres · 362 pantallas
一失・智者智亡
伝馬役所の同心見習、高梨外記である。
雲霧一件に、係吟味となっている彼の父――高梨小藤次とは、むろん、十分、何か諜し合せた上の行動であることは疑いない、気がかりらしく、外記は時々、タレを上げて先の方を覗いていた。
白、紅、所々の畦や堤に、見頃の梅花が眺められる千住道を、蛾の行列みたいに、ぞろぞろと人が出る。
磔刑の見物人だ。餅撒きと同じ意味で、人の死を見にゆく遊山だ。
二月の昼である。うすく埃の立つ東風の中を、駕は飛ぶ、駕は追う。
一失・智者智亡
「ああ、来なけれやよかった」
雲霧は、生唾を吐きながら、枯草の中にしゃがみ込んだ。
刑は、今終った。
黄昏の空に、眼隠しをされた死骸が、まだ四つ並んでいる。青い獄衣が、血の縞になって、縒れていた。
があがあと、見物人は、なだれ押しに、帰ってゆく。町の噂を知らない百姓が、五人と思ったのに、かんじんな雲霧が欠けているといって、不平らしく、呟いて通った。
「――ばッ、馬鹿にしてやがる」
雲霧は、青ざめた顔をして、枯草の中から立ち上がった。
「死んで堪るものか! 死んで!」
強く、口の裡で、こういった。
「四人の奴等にゃ、これくらいが、相応な往生だろう。