Clásicos japoneses con furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lee 海難記 (かいなんき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 28.628 caracteres · 56 pantallas
筏の十五人は救助されて帰った日、レコォの艦長室で総督とクーダン少尉とこんな会話をしている。
「司令官、漂流中のある事態について、ぜひとも申しあげておかなくてはならぬことがあります」
「クーダン少尉、報告はさっき聞いた。まだなにかあるのかね」
「報告ではありません。告解を」
「告解なら聴問僧のところへ行きたまえ、なにを言いだすつもりか知らないが、われわれの食慾を減退させるようなことなら、言わずにおいてもらいたい。筏の上で、なにがあったかなどということを聞きたくもなし、知りたいとも思わない。君たちにしても、助かったことを神に感謝するだけで十分だ。どういう方法で生きのびたなどということは、生命の価値にくらべると、たいした問題じゃないのだからね。これがわれわれの忠告でもあり、意見の総和でもあるのだ」
それからこんな手紙。
「本土へ帰航する運送船の端艇が桟橋を離れようとしている。手紙を書く時間は五分しかない。くわしいことは後便にゆずる。
いま亜弗利加にいる。ところで、われわれはブランコ岬南方の海岸で難破した。服も襯衣も、書類も、金も、書物も、武器も、なにもかも失ってしまった。