Clásicos japoneses con furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lee 海難記 (かいなんき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 28.628 caracteres · 56 pantallas
艀組の漂泊の実況はエスピオの「回想録」とプレディフ技師の日記に書かれているが、この日から八日までの記述はとりとめのない幻想にみちていて、実相を捕捉することができない。太陽の直射と極度の渇きのせいでみな耗弱状態になり、昼も夜も幻ばかり見ていたふうで、幻影のことばかり書きつけているが、さいわいピカール氏(セネガル分管区の屯所長)の手記があって、この間の事情をそれとなく説明してくる。
六隻の舟艇が筏を見捨てて帆走しだすと、乗員は満足して、ゆったりと海をながめていた。うねりひとつない穏やかな海の上を辷るように端艇が走っている。明後日の朝ぐらいには、セネガルの河口に辿り着けるものと楽観していたのである。ところが、夜になると急に事情が変ってきた。海が荒れ、逆のほうから強い風が吹きだして端艇をおし戻した。楽しいくらいだった舟行はいまや直接に生命を脅やかす危険極まるものになった。夜半近くになると、風は勢いを増し、低い舷からたえず波がうちこむので、乗員は一分ごとに絶望の叫び声をあげた。ラ・メデュウズの舷側を離れるとき、小さな端艇にこんなに人間を詰めこむことに不安を感じたが、それが新たな恐怖になって人々の心を脅かしはじめた。