Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

ひのとり

火の鳥

太宰 治

Lee 火の鳥 (ひのとり) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 37.740 caracteres · 76 pantallas

Aozora Bunko

初日が、せまった。三木は、こっそり尾沼栄蔵のもとへ、さちよの様子を聞きに行った。帰って来てからさちよに、君がうまいんじゃないんだ、他の役者が下手くそなんだ、尾沼君は、そう言っていた。君は、こんどの公演で、きっと評判になるだろう、けれども、それは、君がうまいからじゃないんだ、日本の俳優が、それだけ、おくれているということなんだ、そう言っていた。いいかい、ちっとも君がすぐれているわけじゃないんだから、かならず、人の讃辞なんか真に受けちゃいけないよ。叱りつけるような語調で言って聞かせて、それでも、その夜は、珍らしく老母とさちよを相手に、茶の間でお酒たくさん呑んだ。

初日、はたして成功である。二日目、高野幸代は、もはや、日本的な女優であった。三日目、つまずいた。青年、高須隆哉の舌打が、高野幸代の完璧の演技に、小さい深い蹉跌を与えた。

高須隆哉が楽屋を訪れたときには、ちょうど一幕目がおわって、さちよは、楽屋で大勢のひとに取り巻かれて坐って、大口あいて笑っていた。煙草のけむりが濛々と部屋に立ちこもり、誰か一こと言い出せば、どっと大勢のひとの笑いの浪が起って、和気あいあいの風景である。