Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lee 灰色の記憶 (はいいろのきおく) de 久坂 葉子 (くさかようこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 65.588 caracteres · 132 pantallas

Aozora Bunko

私はいきなりむらむらと怒りがこみあげた。

「分家さん、冗談にもそんなこと、いやな」

気弱になった彼に私はがみがみと云った。

「ふん」

彼は例の口許から例の発音をした。

「分家さん、さ、かえりましょう。みっともない。まだうすあかるいしするのに。それに、ええ奥さんがおってやないの」

私は、彼を精神的変質者であろうと、もともと思っていた。私は彼の手をひっぱって起した。彼は私のするままにしていた。私は、ワイシャツの釦をかけ、ネクタイを結びなおしてあげた。彼の奥さんは気性の勝った人でひどいヒステリーであることを秘書からきいていた。彼が又、彼の奥さんの云うなりになっていることも知っていた。彼はいい年をして子供っぽい面を持っており、さみしがっている様子に私は同情していた。私は酔いしびれた彼の手をひっぱって玄関へ降りた。

「くく、くつべら」

彼は怒鳴った。私は、ほっとした思いで手早く彼の右のズボンのポケットから、くつべらを出して彼の足を靴の中へすべりこませた。

翌日、彼はおひる頃ふらふら出社した。私は熱いお茶を濃い目にいれて机の傍へ持って行った。彼は何も云わず、又私の顔をみもしなかった。