Clásicos japoneses con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lee 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.705 caracteres · 173 pantallas
」
「それは大次、どういうわけだ。あの千浪さまはお前の女房で、今日もお前を慕ってあちこち探し歩きそのために、あの出羽をお前と間違えて、ここへ連れ込まれたくらい――それほどお前に焦れているものを――。」
「いや、言うてくれるな。」
その大次郎の眼に、素早く涙が宿って、
「おれとても、あれを憎からず思ってはおる。憎からず思うどころか、いつどこにおっても、あれのことが頭を離れんぐらいに、おれは千浪を思いつめているのだが――あれの幸福を願えばこそ、あれと別れておらねばならぬ。」
「それはいったいどういうわけだ。」
急き込んで訊く文珠屋佐吉の手を、しっかり握り締めて、
「その理由は、訊いてくれるな。一つには、あの祖父江出羽守という仇敵をもつ身が、千浪と恋に落ちたのが、そもそもの間違いであった。いかに思い合ったればとて、世の常の夫婦のごとく、安穏に共に暮らせるものではなかったのだ。出羽を討つにしろ、また討たれるにしろ、早晩千浪に歎きを見せるは必定――それを思えばこそ――。」
と大次郎は、またちょっと頭巾の端を撥ね上げて、その別人のように変った顔を佐吉に見せながら、
「かように面貌が一変いたしたのを幸い――幸いと言うよりも、それをきっかけに、まるで心まで変ったように見せかけて、愛想づかしをして道場を出て来たのが、千浪は、あんなに