Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lee 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.705 caracteres · 173 pantallas

Aozora Bunko

この自責の念が、夜となく昼となくかれを悩まして、自分で制しきれずに、焦々した気持ちになるのであろう。大次郎はこのごろ、人が変ったように、神経が尖り、千浪に対しても、以前とは打ってかわって、荒あらしい声を放つのだった。

顔じゅう繃帯に覆われ、月代は、百日鬘のように伸び放題。狂的に光りかがやく眼が、いつも凝然と千浪を見守って。

彼女は、われにもなく眼を外向けながら、

「雪が降ります前に、下りなければなりませんと思いますけれど――。」

「けれど、なんです。こんな化物のような顔になった拙者と、ともに、江戸へ帰らなければならないかと思うと、この山を出る気にはならないと言うのだろう。」

「あれ、またあなた、そんなことをおっしゃって、わたくしを困らせてばっかり――。」

「千浪。」

「はい。」

「きょうは顔の繃帯を取ってくれ。」

「は、い――でも、あの、あの――。」

大次郎の顔が、どんなに変相しているか、千浪はその恐ろしい事実を知っていて、顔の繃帯をとる日を、一日延ばしに延ばしてきたのだが――。

逡巡っていると、癇走った大次郎の声で、

「取ってくれと言うに、なぜとらぬのだ。」