Clásicos japoneses con furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lee 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 71.309 caracteres · 144 pantallas
どれもこれも三十年ぐらいはごく注意して、傷一つつけずに、使い通してきたものらしい。たとえ異国であろうとも、こんな風にごく上等な品物をごく長い間使い慣らしていた老人たちの心柄は、ただ質素であると云ってしまうにはあまり奥床しく思われる。――彼はそれらの家具類の間にちょこんとしている一つのごく小さな椅子に、丁度五六歳の子供にしか掛けられないような一つの椅子にふと眼を止めた。その小さな椅子は木質の古びと云い、それに彫られてある模様の稚拙な感じと云い、いずれも他の古椅子とあまり変らなかった。これはひょっとすると彼等が三十年前スコットランドから日本へ移住して来た時他の家具類と一緒に向うから持ってきた物かも知れない。そのとき彼等には丁度五つか六つぐらいになる子供が一人あったのだろう……だが彼はこれまでついぞそういう彼等の息子らしいものを見かけたことは無かったけれど……その息子、と云っても今ではもう三十以上になっているに違いないが、彼は自分の職業のために一人で故国に帰っていたのだろうか、それとももしかしたらもう死んでしまっているのであるまいか?……いずれにせよ、この可憐な椅子がそれを見る度毎に彼等老夫婦の心を慰めていたであろうことは容易に想像される。