Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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かたおなみ

片男波

小栗 風葉

Lee 片男波 (かたおなみ) de 小栗 風葉 (おぐりふうよう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 2792 caracteres · 6 pantallas

Aozora Bunko

降続きたる卯の花くだしようようはれて、かき曇りたる天もところどころ雲の切間を、朧なる五日の月は西へ西へと急ぐなり。千載茲許に寄せては返す女浪男浪は、例の如く渚を這上る浪頭の彼方に、唯形ばかりなる一軒立の苫屋あり。暮方より同じ漁師仲間の誰彼寄り集いて、端午の祝酒に酔うて唄う者、踊る者、跂る者、根太も踏抜かんばかりなる騒ぎに紛れて、密と汀に抜出でたる若き男女あり。

「何か用なの? え、仙太様。」

と女は美かなる声の優しくまず問懸けたり。されど仙太は応答もなさで、首をたれたるまま、時々思い出したらんように苫屋の方を振返りつつ、的もなく真砂の間をざくざくと踏行きぬ。

「このまあ真黯なのにどこへ行こうての? え、仙太様、仙太様。」

重ねて女は声懸けけるが、応答はおろか、見も返らざるに思絶ちけん、そのまま口を噤みて、男の後ろに従いぬ。

月はいよいよ西に傾きて、遥かの沖の方には、綿の如く、襤褸の如き怪しげなる雲のしきりに動くを見たり。

二人は岬を廻りて、苫屋の火影も今は見えずなりける時、つと立停まりて、

「お照様。」

と始めて口を開きたる仙太の声は、怪しとも戦きたり。