Clásicos japoneses con furigana
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ごくちゅうしょうそく
獄中消息
大杉 栄
Lee 獄中消息 (ごくちゅうしょうそく) de 大杉 栄 (おおすぎさかえ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 57.149 caracteres · 114 pantallas
監獄の寒さというのも、こんど初めて本当に味わったような気がする。以前の味は忘れてしまったのか、それともそれほどまでに感じなかったのか、こんなにひどくはなかったように思う。僕はよく風をひくと風にあたるのが痛い痛いと言って笑われて居た。実際痛いのだ。それがここでは、そとに居た時のように人の皮膚の上っ面がヒリヒリするくらいでなく、肉の中までも、骨髄の中までもえぐられるような痛みなのだ。じっと坐っていて、手足の皮と肉との間がシンシン痛む。膝からモモにかけての肉がヒリヒリ痛む。腰の骨がゾクゾク痛む。顔の皮膚がひんむかれるようにピリピリする。頸から肩にかけて肉と骨が突き刺される。この痛みに腹の中や胸の中まで襲われちゃ大変だ。と思いながら、しっかりと腕ぐみをして、例の屈伸法で全身の力をこめて腹をふくらす。いい行だ。
毎日毎日こんな目に会っていて、それで一年の冬の半分以上も寝て暮すからだが、風一つひかない上に咳一つたん一つ出ない。ただ水っぱなだけは始終出ているが。毎週一度くらいは胸に聴診器をあてて貰うが別に異状はないようだ。不思議なくらいだ。こんなにからだの具合のいい冬はもう十年余りも覚えがない。