Clásicos japoneses con furigana
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うりのなみだ
瓜の涙
泉 鏡花
Lee 瓜の涙 (うりのなみだ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.247 caracteres · 21 pantallas
深秘な山には、谷を隔てて、見えつつ近づくべからざる巨木名花があると聞く。……いずれ、佐保姫の妙なる袖の影であろう。
花の蜃気楼だ、海市である……雲井桜と、その霞を称えて、人待石に、氈を敷き、割籠を開いて、町から、特に見物が出るくらい。
けれども人々は、ただ雲を掴んで影を視めるばかりなのを……謹三は一人その花吹く天――雲井桜を知っていた。
夢ではない。……得忘るまじく可懐しい。ただ思うにさえ、胸の時めく里である。
この年の春の末であった。――
雀を見ても、燕を見ても、手を束ねて、寺に籠ってはいられない。その日の糧の不安さに、はじめはただ町や辻をうろついて廻ったが、落穂のないのは知れているのに、跫音にも、けたたましく驚かさるるのは、草の鶉よりもなお果敢ない。
詮方なさに信心をはじめた。世に人にたすけのない時、源氏も平家も、取縋るのは神仏である。
世間は、春風に大きく暖く吹かるる中を、一人陰になって霜げながら、貧しい場末の町端から、山裾の浅い谿に、小流の畝々と、次第高に、何ヶ寺も皆日蓮宗の寺が続いて、天満宮、清正公、弁財天、鬼子母神、七面大明神、妙見宮、寺々に祭った神仏を、日課のごとく巡礼した。