Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ゆり

百合

芥川 竜之介

Lee 百合 (ゆり) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4400 caracteres · 9 pantallas

Aozora Bunko

」

母はだだ広い次の間に蚕の桑を刻み刻み、二三度良平へ声をかけた。しかし彼はそんな事も全然耳へはいらないように、芽はどのくらい太いかとか、二本とも同じ長さかとか、矢つぎ早に問を発していた。金三は勿論雄弁だった。芽は二本とも親指より太い。丈も同じように揃っている。ああ云う百合は世界中にもあるまい。………

「ね、おい、良ちゃん。今直見にあゆびよう。」

金三は狡るそうに母の方を見てから、そっと良平の裾を引いた。二本芽の赤芽のちんぼ芽の百合を見る、――このくらい大きい誘惑はなかった。良平は返事もしない内に、母の藁草履へ足をかけた。藁草履はじっとり湿った上、鼻緒も好い加減緩んでいた。

「良平! これ! 御飯を食べかけて、――」

母は驚いた声を出した。が、もう良平はその時には、先に立って裏庭を駈け抜けていた。裏庭の外には小路の向うに、木の芽の煙った雑木林があった。良平はそちらへ駈けて行こうとした。すると金三は「こっちだよう」と一生懸命に喚きながら、畑のある右手へ走って行った。良平は一足踏み出したなり、大仰にぐるりと頭を廻すと、前こごみにばたばた駈け戻って来た。なぜか彼にはそうしないと、勇ましい気もちがしないのだった。