Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

Lee 禰宜様宮田 (ねぎさまみやた) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 34.662 caracteres · 68 pantallas

Aozora Bunko

その前へ一段低く連なった山の峯のうちへと消えている。

そして、静かな西風に連れて、来ては去る雲がその時々に山全体の色調にこの上なく複雑な変化を与える。

或るときは明るく、或るときは暗く、山はまるで生きているように見えた。

大きな楓の樹蔭にあぐらをかき、釣糸を垂れながら禰宜様宮田はさっきから、これ等の美しい景色に我を忘れて見とれていたのである。

「まったくはあ、偉えもんだ……」

彼は思わずもつぶやく。

そして、自分の囲りにある物という物すべてから、いきいきとして、真当なあらたかな気が立ち上って来るように感じたのである。

一本の樹でもどんな小さな草でもが皆創られた通りに生きている。

背の低いものは低いように、高いものはまた高いもののようにお互にしっくりと工合よく、仲よさそうに生きているのを見ると、何によらず彼は、

「はあ、真当なことだ」

と思う。

そしてどことなく心がのびのびと楽しくなって、彼のいつも遠慮深そうに瞬いている、大きい子供らしい眼の底には、小さい水銀の玉のような微かな輝やきが湧くのである。

いったい彼の顔は、大変人の注意をひく。

利口そうだというのでもなければ雄々しいというのではもとよりない。