Clásicos japoneses con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lee 私本太平記(五) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 252.330 caracteres · 505 pantallas
片目がすこしわるいのだなと、尊氏はそのまに初めて気がついた。そしてこれが千早の孤城に拠って関東数万の大兵を百七十日ものあいだくいとめていたのみならず、しばしば敵のきもを寒からしめたと聞くあの智略の将であるのだろうかと、つらつら、その風采までが見直された。
土豪には土豪の土臭、武者には武者の骨柄があるものだが、正成には、そんな力みがどこにもなかった。
それも、しいてしている低姿勢とはみえず、人前に臆しがちな、はにかみともいえそうな翳が、その肩や面ざしを、自然なやわらかいものにしていて、するどい圭角らしさなどは物腰のどこにもない。いってみれば、そこらの往来でも役所の門でも、ざらに見かけられる平凡な四十男、あるいは布衣のなにがしといった程度の人としか思えない目の前の正成だった。
「おわらいください」
やがて、正成は、いちど途絶えたことばを、また声低くつづけていた。
「……そのような下郎の暴言、いや一徹など、ご失笑にも値せぬかとぞんじますが、しかしいつか信をなしてくる一般の誤解ほど恐ろしきはございませぬ。郎党小六の兇行も、まったくその誤解より生じましたもの。