Clásicos japoneses con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lee 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 116.638 caracteres · 233 pantallas
彼らが怨みをすてるとは思われません。……むしろここには、まだ千余のお味方は残っていること。花々しく一戦をとげ、武士は武士らしく、御運命を決すべきではないでしょうか。そして大御所は、そのあいだにお姿を変えて、中国の赤松をたよってお落ちになるがよいかと存じまする」
だが、師直は容れず、師泰もまた、一笑に附して言った。
「公義、名よりは実だよ、当世ではな。向うに二重の腹があるなら、こっちも三重腹になって、幾変化でもして見せるわさ。生き抜いた方がさいごの勝ちというものだ」
「…………」
公義は、何もいわず、悄然と退がって行った。晩になると、こまかい雨になり、明朝はここを立つのかと思うと、師直師泰も、さすが心はおだやかでなく、剃りこぼった頭を寒げに、一穂の灯を無口に見合っていた。
そこへ寺僧が来て、ただいま、昼見えたお武家が、この一通を殿へとばかり言いおいて、暗い雨の中を、どこへともなく駈け去ッて行かれましたとのことに、開いてみると、それは薬師寺公義の筆で、ぶつりと切った髻と共に、文言はなく、一首の歌だけが収めてあった。
とれば憂し
取らねば
人の数ならぬ
捨つべきものは