Clásicos japoneses con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lee 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.598 caracteres · 254 pantallas
「ここへさえ、火を咥えた鳥が訪れたことがある」
湯殿の竹窓ごしに、あかがねのような夕空を見ながら、正成は思い出していた。
かつて都の若公卿が、身を山伏にやつして、暮夜ひそかに門を叩き、北条幕府の悪政をそしり、そして、みかどを中心とする世直しの急を説いて、加担の血判せよと、自分へせまったことがある。
――お答えは、熟慮の上で。
と、そのときは、やっと逃げたものの、以後、幾たびも密々な訪ねをうけた。
日野朝臣俊基だった。
はたせるかな、事漏れて、その朝臣は、鎌倉へ曳かれたが、どう言いのがれたか、この春、ふたたび河内辺に姿を現わし、ここへは来ぬまに、どこかへ立ち去ったと聞いている。
「まずは、よかった」
いつわらぬ心では、正成はそう思っていた。
しかし、火の鳥は、いつのまにか、ここらの郷武者の間に、卵を孵していた。彼の肉親のうちからも孵っている。弟の正季などもその一人だ。
「よい機、こよいは、正季の胸も、一つ訊いておこうわえ」
やがて書院で、その弟と、夜の膳を共にしたときは、あらかじめ、彼にはそんな気も抱かれていたのであった。
が、正季は、好きな杯も、まずおいて、