Clásicos japoneses con furigana
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くうをとぶパラソル
空を飛ぶパラソル
夢野 久作
Lee 空を飛ぶパラソル (くうをとぶパラソル) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 20.190 caracteres · 40 pantallas
戸籍面によるとこの老婆はオシノといって、敬吾の祖母に当る嘉永生れの高齢者であるが、耳も眼もシッカリしているようで、気持ちも存外確からしい。
私は心安いような態度で茶碗を口に近づけて、一ト口飲む真似をした。そうしてブッキラボーに口を利いた。
「敬吾君はいつ頃お帰りで……」
老婆は眼をショボショボとしばたたいた。右の眼の下の皺を、口と一緒に歪まして、ペロリと一つ舌なめずりをしたが、やがて又、淋しい、たよりないシャガレ声を出して、
「……ハ――イ。もう帰る頃と思いますが……アナタ……」
と云いつつ私を見詰めると、モクモクと口を動かした。その疑うような白い眼付きを見ると、私はたまらない程奇妙な気持ちになったので、新聞の事も何も忘れてしまって、取って附けたようにお辞儀をした。
「それじゃ……いずれ又……」
「……ア……さようで……アナタ……」
そう云いながら老婆は、何かもっと云いたいような顔付きをしたが、又モクモクと口を動かすと、黙り込んでしまった。
「ドウゾお構いなく、いずれ又そのうちに……どうぞ宜しく……」
と切れ切れに云い云い玄関に出て、靴に足を突込むや否や表に飛び出して、格子戸をピシャリと閉めた。