Clásicos japoneses con furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lee 竹柏記 (ちくはくき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 45.798 caracteres · 91 pantallas
「お手間はとらせない。ほんのちょっとですよ」
孝之助は供の者を見て、先へ帰れ、と云い八束に頷いてみせた。
雨のためだろう、あたりはもう暗くなりかけ、辻通りにある柳並木の枝から、僅かに残っている葉が、しきりと道の上に散っていた禅昌寺橋の通りを、まっすぐにゆき、町家へはいったところを、左に曲った。つき当ると鏡川の岸で、その手前に華やかな一画がある。俗に「洗濯町」と呼ばれているが、ずっと昔そこに城中の御用を受ける、洗濯長屋があったという。むろん真偽のほどはわからないが、のちに遊女屋が出来、料亭が建ち、唄や踊の女師匠(まだ芸妓とはいわなかった)などが住みついてあまり品のよくない花街ができた。
「御身分にかかわりますかね」
孝之助がちょっと躊うのをみて、八束はこう云いながら、手で押しやるような、身振りをした。
「しかし此処も人間の遊ぶところです。いい経験になりますよ」
そして、殆んど引立てないばかりに、横丁へ折れてゆき「かね田」と袖行燈の出た、小さな料亭ふうの家の、門へつれこんだ。
思いきって卑しい、中年の女中が二人、あけすけに猥らなことを云いながら、ぎしぎし軋む、狭い廊下を先に立って、八帖ばかりのうす暗い部屋へ案内した。